ガソリン生活
二十歳の大学生・望月良夫は弟の亨(小学5年生)と愛車のデミオを運転していた。そのとき三十代半ばの女性が乗り込んできた。「逃げているの。助けてくれないかな」 その女性は元女優で不倫疑惑が週刊誌ネタになっている荒木翠だった。目的地までへ送り届けた翌日、翠はトンネル内で事故死する。本当に事故だったのか? 良夫と亨は、翠を追いかけていた芸能記者・玉田と知り合い、事件に首を突っ込み始める。望月家の姉まどか、母郁子も巻き込み、謎は広がっていく――
物語の語り手は「車」。デミオをはじめ、町を走る様々な車たちのおしゃべりがミステリーを紡いでいくチャーミングな長編家族小説!
(単行本2013年朝日新聞出版、文庫本2016年朝日新聞出版)