重力ピエロ
重力ピエロ
重力ピエロ

「春が二階から落ちてきた。」

半分しか血のつながりがない「私」と、弟の「春」。

春は、私の母親がレイプされたときに身ごもった子である。

ある日、出生前診断などの遺伝子技術を扱う私の勤め先が、何者かに放火される。

町のあちこちに描かれた落書き消しを専門に請け負っている春は、現場近くに、スプレーによるグラフィティーアートが残されていることに気づく。

連続放火事件と謎の落書き、レイプという憎むべき犯罪を肯定しなければ、自分が存在しない、という矛盾を抱えた春の危うさは、やがて交錯し驚愕の結末へと向かう―—

 

(単行本2003年新潮社、文庫2006年新潮社)

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