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シリーズ物について、今回は、「死神」のシリーズについてです。
2024年現在
の2作品が発表されています。
『死神の精度』は短編集、『死神の浮力』は長編です。
伊坂さんにこの作品ができる経緯を聞いてみました。
「1週間で短編を書かなくちゃいけなくなって、突貫工事だったんですよね。短編になりそうなネタは1つあったので、あとは探偵役を誰にするか。お話が地味だから、探偵役は奇抜にしたいなあ、と思って、真っ先に頭に浮かんだのが、『天使』だったんですけど、それはそれで優等生的な気がしたので、反対の、死神かなあ、と。昔、何かで藤子不二雄さんが、『キャラクターを作るためには好きな物と嫌いな物を決める』と言ってるのを読んだ記憶があって、そういうやり方で登場人物を考えたことは後にも先にもその時だけなんですけど、とにかく焦っていたから、じゃあ、音楽と渋滞! と全体を15分くらいで決めて、慌ただしく書きました」
「編集者が面白がってくれたのか、同じ主人公で定期的に短編を書きませんか? と言ってくれて。短編仕事は苦手なんですけど、死神の千葉がいろんなジャンルの映画に登場する、というコンセプトだったら面白そうかなと思って、それをモチベーションに書いたんですよね」
とのこと。各短編ごとのジャンルを聞くと
「死神と藤田」任侠
「吹雪に死神」本格ミステリー
「恋愛で死神」恋愛
「旅路を死神」ロードムービー
といった形になっているそうです。
コラムというよりもインタビュー記事のようになってしまいますが、2作目の『死神の浮力』を書く経緯についても聞いてみました。
「これも続編を書くつもりがなくて、短編は断っていて。ただ、長編はやっていないから、書いてもいいなあと思ったんです。死神の調査期間は7日間なので、1日ずつ1章使ったら面白いんじゃないかと思って。僕は長編のほうが、読むのも書くのも好きなので、『死神の精度』よりも『死神の浮力』のほうがはるかに力が入っていて、アイディアも総動員しましたし、圧倒的に、『死神の浮力』のほうが達成感がある自信作なんですけど、読者からの反応や売れ方を見ると、『死神の精度』のほうが全然、人気があるんですよね(笑)。僕がいかに、読者のことを分かっていないか、ということなんですが」
「さらなる続編については、ほとんど書く気はないんですよね。短編集と長編が1冊ずつあればいい、というか、書いたところでパターンの繰り返しになっちゃいそうで。ただ、千葉は本当に大好きなので、書きたくなることは時々、あります。何か、これなら!という案が出たら書くかもしれないですけど。あと、『死神の精度』を作ってくれた担当編集者のOさんが、『かなり高齢になった時に、書きたくなったら書いたらどうですか?』と言ってくれて、それが頭には残っているんですよね」
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