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シリーズ物について、今回は、「魔王」のシリーズについてです。
2024年現在
の2作品が発表されています。
『魔王』は"腹話術"という特殊能力を持った安藤が主役の中編「魔王」と、安藤の弟、潤也が主役の中編「呼吸」を収録した中編集で、『モダンタイムス』はその50年後の、渡辺拓海を主役とした長編となっています。
エッセイによれば、「魔王」がエンターテインメント性の高いアメリカ映画だとすると、「呼吸」は少し静かなヨーロッパ映画のようなもの、というイメージで作られたようです。
『モダンタイムス』に関してはもともと、『魔王』の続編とするつもりはなかったとインタビューではおっしゃっています。
改めてお聞きすると
「『モダンタイムス』は週刊漫画誌『モーニング』に載せてもらうことになっていたので、漫画的な超能力を出したいなと思ったんですよね。『魔王』で使った"腹話術"みたいに、しょぼいけれど面白そうな、そういう特殊能力を思いつきたかったんですけれど、結局、閃かなくて。担当編集者のSさんに、"腹話術"は気に入っているんですけど、もう一度使うと、『魔王』の焼き直しみたいになっちゃうから無理なんですよ、と言ったら、『続編にしたらいいんですよ』と言ってくれて。ああ、その手はあるか、と思って。血筋みたいなもので説明すればいいのかな、と思って、だから、"腹話術"が出てくる言い訳のために続編になったんです」
『モダンタイムス』の続編についてお聞きすると、以下のような答えがありました。
「『モダンタイムス』で少し触れているんですけど、潤也と詩織の息子がいるんですよね。東北を離れてそれきり、ということしか書いていなくて、一応、そっちの道筋でお話を書けるようにはしてあって。『ジョジョの奇妙な冒険』のようなサーガ感にも憧れがあるので、『魔王』は兄弟の話で、『モダンタイムス』はその親戚の話ですから、子孫の物語があったら楽しい気もして。彼は彼で、特別な力があって東京で事件に巻き込まれる、みたいな話は書きたい気持ちはあるんですよね。役に立つのかどうか分からない能力、という意味では前からあたためているものが一つあるんですけど、若干、どう小説に盛り込めばいいのか分からなくて。いっそのこと、"腹話術"と"じゃんけん"の両方の力を持っていてもいいのかもしれないんですが。時代設定的には、『魔王』と『モダンタイムス』の間くらいになるんでしょうね。いっそのことかなり未来の話にしちゃって、誰かの孫世代を主役にしてもいいのかもしれないんですが」
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