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2024.11.4
シリーズ作品について⑤「殺し屋」シリーズ

シリーズ物について、今回は、殺し屋シリーズについてです。

 

2024年現在

 

『グラスホッパー』

『マリアビートル』

『AX アックス』

『777 トリプルセブン』

 

の4作品が発表されています。

 

インタビューではよく語られていますが『グラスホッパー』が不評だった悔しさから、『マリアビートル』を書いたとのこと。

 

改めて聞いてみました。

 

「『グラスホッパー』はとにかく周りの人からの評判が良くなくて、直前に出した『チルドレン』とかと雰囲気が違うからなのかもしれませんが、面白いのになあ、と悔しくて、どうやったら評判が覆せるのか必死に考えたんですよね。唯一思いついたのが、いつか、『グラスホッパー』と地続きの、最高に面白い作品を作れば、遡って、『グラスホッパー』も評価してもらえるかも、という作戦で(笑)、そのことだけに闘志を燃やした記憶があります。それがうまくいったのかどうかは分からないですけど、今は、『グラスホッパー』とともに面白がってくれる読者が増えている感じがありますし、良かったです」

 

3作目の『AX アックス』には、「AX」「BEE」「Crayon」「EXIT」「Fine」と5編が収録されていますが、雑誌に途中まで掲載され、未収録の「Drive」という作品のことも聞いてみました。

 

「『Drive』は兜が家族旅行で東京湾のアクアラインをドライブして、パーキングエリアの海ほたるで騒動に巻き込まれる、みたいな話だったんですよね、確か。最終的には千葉の鴨川シーワールドみたいなところに行くんだったかな。忘れちゃいましたが(笑)。天才的なスナイパーが出てくるんですけど、ちょうどぎっくり腰になっちゃっているとか、通販で商品を買ってばかりいる害虫駆除業者が出てくるとか、面白そうな要素は詰め込んでいたんですけど、気持ち的に続けられなくなって、それきりなんですよね」

 

『777 トリプルセブン』に関しては、インタビューによると、『マリアビートル』をハリウッドで『ブレット・トレイン』として映像化したプロデューサーから、「(『ブレット・トレイン』の主役である)天道虫の続編はないか」と言われ、それならばと構想を練って書き上げた作品とのこと。

 

「自分で、明確にシリーズだと捉えているのは、『マリアビートル』と『777 トリプルセブン』の2つなんですよね。あとのは、それぞれ独立した作品だと思っていて、単品で楽しめますし」

 

とはいえ殺し屋シリーズと呼ばれている4作品ですから、この続編は書くことがないのかも聞いてみました。

 

「前から『マリアビートル』に出てきた蜜柑と檸檬の話は書きたいなと思ってはいるんです。どうしても過去の話になりますし、一方で、過去の話ということは、蜜柑と檸檬が生き残ることも読者は分かっているわけですから、そこでハラハラ感を作るのは難易度が高くて、そこがまずネックではあるんですよね。蜜柑と檸檬がサッカー選手を誘拐する話とか、これまでの作品にちょこっと先行露出的に入れたトピックもあるので、それは使えるんですが。あとは最近、編集者と話していて、『この題材に蜜柑と檸檬が出てきたら面白いかも』というものが思いついたんですが、ただ、いつ書けるのかな(笑)」

 

シリーズ物についてのコラムは今回で終わりです。挙げなかった作品の中に続編を書く予定はないのでしょうか。

雑誌に掲載されたきりになっている、謎の生き物"セミンゴ"が出てくる連作(「ギア」「ブギ」「ギブ」)の続きなどが気になります。

 

「セミンゴは、最後は、ゴジラみたいにセミンゴ対人間、みたいになるつもりだったんですが、結局、そのままになってしまいましたね。あと、『火星に住むつもりかい?』は思い入れが強いので、同じ世界観で何かやりたい気持ちはあって、『スターウォーズ』みたいに、主人公の武器を孫が見つけて、何かが始まる、とか」

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